「結合酸素」とは通常の呼吸で得られる酸素で、血液中のヘモグロビンに依存して融合し、血管に運ばれています。そのためヘモグロビンの大きさは細い毛細血管を通り抜けるには限られてしまいます。しかし「溶存酸素」はヘモグロビンと融合していない酸素で、しかもヘモグロビンより小さいため、毛細血管を通りやすく体内により多くの酸素を送り込むことができます。
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今回の実験データの取得に関する情報
実施期間 | 2016年6月~8月 |
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実施場所 | 京都大学大学院人間・環境学研究科実験室 (森谷敏夫研究室) |
使用した設備 | 日本気圧バルク工業(株) 高気圧ルーム ブレッドタイプA-L |
監修 | 森谷敏夫 (京都大学名誉教授) 石原昭彦 (京都大学教授) |
赤血球中のヘモグロビンが酸素 (これを結合酸素といいます) を結びつけて全身に運びま す。高気圧酸素の環境では、結合酸素が増大します。また、全身を流れる酸素が増大するこ とによって、安静時の心拍 (脈拍) 数が減少します。
血液中に溶け込んだ酸素を溶存酸素といいます。高気圧酸素の環境では、溶存酸素が増 大します。溶存酸素は血液中に直接溶け込んでいるので、手先、足先、心臓、脳や眼の末端 の細胞まで流れていきます。
過食や運動不足によって、赤血球が連鎖したり、凝集するために、ドロドロした血液になり ます。一方、高気圧酸素の環境では、サラサラした血液になります。
細胞から排出された二酸化炭素が血管を拡張します。また、交感神経の活動を抑えること によって血管が拡張します。高気圧酸素の環境では、末梢の血管が拡張することによって、 血流が増大して皮膚温が上昇します。
ストレスが蓄積すると、自律神経 (交感神経と副交感神経) の働きが乱れたり、交感神経 の過剰な活動を引き起こします。高気圧酸素の環境では、交感神経の過剰な活動が抑えられ、自律神経の活動が安定します。
自律神経には、交感神経と 副交感神経の2つがあります。 日中 (活動時) は、交感神経の活動が積極的になります。 また、緊張したり、ストレ スが加わると交感神経の活動が優位になります。 一方、夜間、リラックスしている時、食事後には、副交感神経の 活動が積極的になります。 自律神経活動の安定を判断する指標として、[交感神経の活動/副交感神経の活動] があります。 日中 (活動時) に測定して、0.8 から2.0 の範囲であれば自律神経の活動が正常となります。 交感神経の活動が優位になると高い 値を示し、副交感神経の活動が優位になると低い値を示します。 普通環境に滞在した場合の自律神経活動は、1.10 (普通環境で30 分経過後の値) から1.50 (普通環境に滞在す る前) でした (被験者:40 歳代の女性)。一方、交感神経の活動が優位であった男性 (50 歳代) は、高気圧酸素 の環境に滞在することによって、交感神経の過剰な活動が抑えられました (高気圧ルームに滞在する前は8.79、 高気圧ルームへの滞在30 分後は2.61、滞在60 分後は2.96)。 高気圧酸素の環境は、交感神経の過剰な活動を抑えて、自律神経を安定させます。
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